【ADの備忘録】Figmaの「閲覧→編集」が、外注先を本当のパートナーに変えた話

一人でデザインをこなすのって、やっぱり時間と体力の限界がありますよね。

前回の記事では、私が「一人で抱え込む働き方」から抜け出すために実践している、「ギルド型組織」の考え方についてお話ししました。ありがたいことに少しずつ売上も安定し、自分のコア業務であるディレクションに集中できるようになってきました。

しかし、優秀なパートナーを集めただけでは、実は「チーム」にはなりません。

それぞれが独立したフリーランスである以上、放っておけばただの「業務委託先の集まり」になってしまいます。離れた場所、違う時間帯で働く私たちが、どうやって「ひとつのデザインスタジオ」として同じ方向を向き、クライアントに伴走しているのか。

今回はもう少し踏み込んで、私たちのチームにおけるリアルな「ツールの使い方」と、そこに通わせている「コミュニケーションの体温」についての備忘録です。

ただ便利なツールを導入するだけじゃなく、どうやって血の通ったチームにしていくか。今も試行錯誤の連続ですが、今のところうまくいっているやり方をシェアさせてください。

目次

Figmaの権限を渡す日は、ちょっとワクワクする

Figmaは離れた場所にいても、複数人で同時にひとつのファイルを編集できるのが最大の魅力です。 でも、私たちのスタジオでは、新しく入ってくれるデザイナーさんに、最初からクライアント案件のメインファイルへ「編集権限」でお招きすることはしていません。

まずは一定期間、デザイナーさんご自身のFigma環境(ドラフトなど)で作業をしていただき、お互いのファイルを「閲覧(Can View)」で共有し合う形で少しの間ご一緒させてもらいます。

これは決して相手のスキルを疑っているわけではありません。メインの環境に合流していただく前に、「どんなプロセスでデザインを組み立てるのか」「ファイル上でどんな風に意図やコメントを残してくれるのか」といった、仕事の進め方やコミュニケーションの温度感をすり合わせるためです。

このお互いの環境を分けた助走期間があるからこそ、「あ、この人のクライアントへの寄り添い方、すごくいいな」とお互いに確信を持つことができます。

そして、「これからも継続してご一緒したいな」と思ったタイミングで、こんな風にお声がけしています。

「⚪︎⚪︎さんの提案やコミュニケーションの取り方、すごくクライアントに寄り添ってくれていて助かっています。もしよかったら、私と一緒にオーナーシップを持って、デザイン支援に入っていただけませんか?」とお声がけして、「光栄です!」というお返事をいただけたとき。

Figmaの権限が「閲覧」から「編集」に切り替わるあの瞬間は、ただの「外注先」が同じ目線で走ってくれる「パートナー」に変わる瞬間です。何度経験しても、背筋が伸びるような嬉しい瞬間ですね。

孤独な作業が「共創」に変わる瞬間

独立したばかりの頃、夜中に一人でモニターに向かっていると、ふと孤独や焦燥感を感じることがありました。「このクオリティで本当にクライアントは満足してくれるだろうか」というプレッシャーと常に隣り合わせだった気がします。

でも今は、Figmaのキャンバス上で、自分以外のメンバーのカーソルが同時に動いているのを見ることができます。これって、やっぱり「チームで作っている感」があってすごく心強いんですよね。

一人では絶対に出せなかったスピード感や、自分にはない引き出しから出てくる新しいテイスト。いろんな視点が混ざり合って、ひとつのデザインがどんどんブラッシュアップされていく。

実はこれ、クライアントからの見え方も大きく変わるんです。ADである私一人のセンスに依存するのではなく、「チーム全体で多角的に伴走してくれている」という安心感に繋がり、結果的に一人でやっていた頃より信頼度が格段に上がっているのを感じます。

「ツールが便利」だからこそ、泥臭いひと手間を

ただ、クラウドツールが便利になると陥りがちな罠もあります。

以前、Figma上で修正指示のコメントを残しただけで、チャットツール(私たちの場合はSlack)でも一言伝える、というのをサボってしまったことがありました。「Figmaに通知がいくし、見ればわかるだろう」という、私自身のちょっとした甘えですね。

その結果、コメントの確認漏れが起きてしまい、納品日ギリギリになって修正対応が残っていることに気づいて、本当にヒヤッとしたんです。(幸い早く気づけたので遅れはしませんでしたが…!)

この一件で、「言わなくてもわかるだろう」「システムが通知してくれるだろう」と思っても、あえてSlackで「Figmaにコメント入れました!お手すきでご確認お願いします」と丁寧に連携することの大切さを痛感しました。

「このテキストを送ったら、相手はどう受け取るか?見落とさないか?」を想像する。こういう泥臭くて人間くさい習慣こそが、離れて働くチームを機能させる一番の土台なんだと、失敗から学ばせてもらいました。

月曜朝のMeetとNotionで作る「チームの体温」

以前は、案件ごとに必要な時だけMTGを入れていました。でも今は、毎週月曜の朝に必ずチーム全員での「定例MTG」を行っています。

もちろん仕事のすり合わせもします。ここではNotionで作った独自の進行管理ボードを画面共有しながら、今週・来週の動きをチーム全員で確認しています。誰が・いつまでに・何をするのか。Notionというツールに情報を集約し、全員が同じ情報を共有することで「言った・言わない」のズレをなくすためです。

ちなみに、この定例MTGにはGoogle Meetを使っています。私たちのチームでは、MeetでのMTGはもちろん、クライアントとのメール(Gmail)や、デザインデータ以外の重いファイルの共有(Google Drive)など、情報の土台となるインフラはすべて「Google Workspace」に集約しています。いろいろ試しましたが、なんだかんだでこれが一番安定していて間違いがないんですよね。

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でも、実はこのMTGで一番意味があると感じているのは、最初にする「雑談」なんです。

NotionやGoogle Workspaceといったツールで「業務の進行や共有」を徹底的に効率化して浮いた時間を、あえて人間らしいコミュニケーションに使う。少人数だからこそ、週の初めに顔を合わせて「週末何してました?」なんて仕事以外の話をするだけで、心の距離がグッと縮まります。

「今週もこのチームで一緒に走るぞ」という確かな伴走感。ツールが作ってくれた「余白」をチームの体温を上げるために使うことが、日々のクオリティを支えてくれているんですよね。

次回へ:面倒な経理業務をどう手放すか?

こんな風に、FigmaやSlack、Notionを組み合わせてチームの連携を深め、「ひとつの組織」としてクライアントに向き合っています。

でも、ADである私がこうしてチームのディレクションや、パートナーとのコミュニケーション、そしてデザインのクオリティアップという「一番価値を発揮できるコア業務」に集中できているのは、実は理由があります。

それは、「裏側の面倒な事務作業」を完全に自動化しているからなんです。

どれだけ素晴らしいパートナーがいても、請求書の発行や経費精算、社会保険の計算といったバックオフィス業務にADの時間が奪われてしまっては、元も子もありません。

次回は、私がデザインの手を絶対に止めないために、新たな壁としてもがいていた「バックオフィスの自動化(freeeなどを使った運営)」について、少し生々しい裏側をお話ししようと思います。


▼ 続きはこちら(第3回)

チームの売上が上がってきたからこそぶつかる「事務作業の壁」。私がデザインの手を絶対に止めないために使っているバックオフィスの自動化についてまとめました。

👉 【ADの備忘録】デザインの手を止めない。月商7桁の個人事業を支える「freee」とバックオフィスの自動化

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この記事を書いた人

都内を拠点に活動する現役アートディレクター。
正社員ゼロの『ギルド型デザインチーム』で、月商7桁の案件を安定して回すデザインチームを運営中。

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